また藤原さんが挙げているように、最初の「ジェノサイド」と言われるナミビア虐殺をはじめ、WWI以前の植民地帝国ドイツの研究も進み始めてはいるが、一般に知られているとは言い難い。
またアドルノ、ホルクハイマーなどのフランクフルト学派にしても、WWI後に成人したこと、自身がユダヤ人であったこともあり、帝国主義・植民地主義にほとんど関心がない。
これが仏の同世代のサルトルとの決定的な違いである。
アドルノは「文化産業」論でジャズ・黒人音楽を「文化産業」に入れてしまうが、これはアドルノの文化的ヨーロッパ中心主義的感性をよくあらわしている。
最後に「唯一無二」とされるホロコーストだが、ここで殺されたドイツ国内のユダヤ人は100万人に満たない。残りはアシュケナージとされる中東欧・ウクライナ、バルト、ロシアのユダヤ人。
代替え案としては、WWII後の国境変更によって消滅したプロイセンの3分の1ほどに、ユダヤ人国家認めることだっただろう。
かなり異例のことだが、「唯一無二」の出来事への応答としてはあり得ない選択ではなかったと思う。
ホロコーストに何の責任もないパレスティナにユダヤ人国家をーしかも1948年の米国大統領選の思惑(民主党)でー「認める」という選択がそもそも無理筋だったのである。