それにしても、全てを「ブラックボックス」の中で決定し、公的には「知らぬ存ぜぬ」で押し通す日本の政治権力の作法、安倍政権時のモリカケ案件の際の佐川国税庁長官の「答弁を控えさせていただく」は勿論、実は日本国憲法制定時まで遡る悪弊である。
周知のように、日本国憲法第一条は「主権在民」ないし「国民主権」の規定とされているが、これは象徴天皇制とセットである。
しかし吉田内閣の下、衆議院に提出された時は、「天皇の地位は国民の至高の総意に基づく」とされており、意図的に「主権」の所在は曖昧にされていた。
衆議院では保守系議員は「国体は変更されていない」ことを明言するように政府に迫り、逆に社会党や共産党は「国体」は新憲法によって変更されているのではないか、と批判した。
吉田政府は、「政体」は変更されたが、国体は変更されていないとして衆議院を押し通し、貴族院でもその姿勢を貫いた(和辻哲郎の主張はこれ)。
ところが、ここで民政局次長のケーディス(ニューディーラー)が極秘に首相官邸に送り込まれ、現在の文言に変更されたのである。
当時の法制局長官金森徳次郎は悔し紛れに「ヘボ南瓜、今日もまだもがれずに在り」の一句を読んだ。
実はこの変更を受け入れない場合、天皇制廃止の可能性があったのである。