読売新聞社長、渡辺恒雄、「ナベツネ」のNHKによる長い「独占インタビュー」を年末に見たが、これはなかなかに興味深い。
「独裁者による自画像」であるから、当然これは一次史料として使えるものではない。
ただ、ナベツネが学徒動員時代、書いた手紙などは当時の旧制高校的な教養主義を背景に「わが道徳律」などとある。あのナベツネが「内なる道徳律」かー、とちょっと笑ってしまった。
ちなみに「このわが内なる道徳律」というのはカント『実践理性批判』の言葉で当時の大学生の公用語でもあった。
もし、ナベツネがここで死んでいたら、「わだつみの声」などに収録されただろう。
東大に進んでからはよく知られているように、東大細胞の指導者となり、「当時の東大生の内2万人」を指導と豪語。この時の仲間に氏家斉一朗、網野善彦、堤清二がいる。
ここで聞き手に「何故共産党をやめたのですか?」と聞かれて「俺は自由な人間だから組織はむかない」と答えたのは笑った。
読売入社後は今強制捜査で話題の大野の祖父、大野伴睦の「懐刀」として派閥を差配。これ、読売記者として同時に給料もらってるわけだから、政治部記者はのんきなものだ。
大野の次にナベツネが参謀を務めたのは中曽根である。これで「俺は根っからの反戦」と来る。いやはや。