ところで、石川県知事の馳浩が、得意げに「東京五輪誘致にあたって、官房機密費を使ってIOC委員を買収した」と語った件はどうなったのであろうか?
馳浩は、五輪招致推進本部長であったのだから、これは常識的に考えれば立派な「収賄」である。
馳氏は、この「収賄」の手法をを「孫子の兵法」となかなかに面白いことを言っている。たしかに「孫子」は長いものではないが、馳浩が読んだとはとても思えない。もし、読んでいたら、あのような「爆弾発言」は行わなかっただろう。
五輪収賄に関しては、電通や角川幹部から逮捕者が出ている、元来れっきとした証拠がある刑事事件である。
私は巨大国際利権ビジネスと化した五輪そのものに反対の立場ではあるが、かといって現行法に照らして「贈収賄」に当たる行為を放置してよいとは思わない。
しかし自民党は「馳浩氏は発言を撤回したので問題ない」との立場のようだ。これには言葉を失う。
実際に実行された重要な刑事犯罪について、新たな(しかも蓋然性がかなり高い)証言が出たのである。
これを「撤回したから問題ない」では、そもそも重大な刑事事件の捜査そのものが成立しない。それこそ「撤回ですんだら警察及び検察はいらない」のである。
このあたり地検特捜部はどのようにお考えなのだろうか?