日本の場合、WWII以後、代議制民主主義と平和主義が同時に導入されたので、無条件で両者が正の相関にあると考えられる傾向があります。
しかし、歴史を見れば「デモクラシー 民主制」のモデルとされるギリシアのポリスは極めて好戦的な社会であり、逆に宋以降の中華帝国、また李氏朝鮮は文官優位、軍人劣位の「平和志向」の社会でした。
また「永遠平和のために」の著者、カントは共和制を君主制よりも「戦争」を抑制できる政体、と考えましたが、第三共和制は植民地獲得に邁進し、ナチス・ドイツもワイマール共和国から生まれ、ヒトラーも帝政否定、共和制支持。
近代においてはマキャベリがローマ共和政を再評価し、その流れが17世紀英、18世紀米独立革命へと繋がりますが、ローマ共和政は世界史上、最も侵略的な国家。これは「現代のローマ」を自任する米国にも当てはまる。
ちなみに「共和制」は「民主制」ではなく、政治的寡頭制、経済的不平等を公に認めます。
逆に民主主義は政治的、さらに経済的平等を理想とはするが、この実現はなかなかに難しい。
不平等が是正されたのは、歴史上20世紀の世界戦争後の30年、北側諸国においてのみ。
「総力戦Total War」抜きで不平等を是正できるのか、これはわれわれに課された大きな課題です。