イスラエルと中東地域の不安定化の中期的な背景の一つは、ここ数十年の新自由主義グローバリズムによる再編の結果としての不平等の拡大と安定した雇用の喪失です。
2010年の「アラブの春」の背景は、若年層の雇用の喪失。中東地域は若年層の割合が極めて高く、雇用不安は社会不安に直結します。
エジプトでも新自由主義による社会保障の解体をムスリム同胞団が補う形で支持を増やし、革命後の選挙では政権につく。
ただしリビアは別。アラブの春の「どさくさ」に紛れて、核開発を放棄したカダフィ政権をNATOが介入・崩壊させた。リビアは中東では福祉・インフラが最も充実した国でした。
ところが、例によって欧米はカダフィを倒した後は、リビアを内戦状態に放置。そこに「ワグネル」とトルコ軍がそれぞれ介入。一応トルコ軍を雇った側が勝利した、現在リビアは「群雄割拠」のまま。
イスラエルがある時期から人種主義・極右リクードとその分派が勢力を拡大した背景はやはり不平等の拡大と雇用の喪失。
建国当初主流を占めていたアシュケナージは中間層以上が多く比較的労働党支持で二国家案支持。しかし、北アフリカかのセファラード、エチオピアからの「黒人」ユダヤ人、インド系ユダヤ人などは、下位階層、新自由主義的再編の中でリクード支持に巻き込まれていく。