「服従しないフランス」の指導者、メランションの演説。
見出しは「すべての戦争犯罪を糾弾しなければならない」。
事実上、現在のイスラエルのガザ空爆を批判する内容となっている。
しかし、ド・ヴィルパンと同じくフランスの政治家はまことに雄弁である。『ジュリアス・シーザー』のアントニウス顔負けというところか。
あとは、現在の出来事を位置づけるために必ず歴史的なパースペクティヴを語る。これは日本では、「研究者同士でやって」となってしまうだろう。
この3分に満たない演説の中でメランションは第三次中東戦争からイスラエルのPLO抹殺のためのレバノン侵略、アラファトの役割まで滔々と語る。
イスラエルはレバノンのベイルートにPLOの本部があった1982年、PLOとアラファトの抹殺のためにレバノンに侵攻(当然国際法違反)。1979年にエジプトが米国に屈服、イスラエルと国交を樹立したことにより、後顧の憂いを絶ったベギン首相の決断。
この際ジェニンの虐殺を含め、死者2万人、孤児となった子供6千人、60万人が家を失った。このレバノン侵攻の軍事責任者が後ベギンの後を継ぎリクード党首、イスラエル首相となったA.シャロン。シャロンはリクード党首の際、オスロ合意を破棄する行動に出る。シャロンの後継者がネタニヤフ。
ところで、仏司法大臣、「メランションは共和国を壊そうといている」と非難。
また、マクロンの意を受けた内務大臣は、パレスティナとの連帯を表明するデモを禁止。
しかし、このデモ禁止令は国務院(Conseil D'Etat)によって違憲とされ、却下。
どうも近年「国王 roi」とされるマクロンに高等法院=国務院が待ったとかけている構図である。
1789年のフランス革命、出発点は王権と高等法院の対立だった。
さて、高等法院が意のままにならない国王マクロンの運命や如何に?