2000-2007年くらいの間、ディアスポラ研究、特にユダヤ・ディアスポラに集中していたことがあった。

 欧州滞在中も文書館や聞き取りなど柄にもない調査などして、「ユダヤ・ディアスポラの中の「ブントBund」の位置が持つ意味」といった論文を書こうしてしたのだが、欧州内である程度イスラエルを批判すると「反ユダヤ主義」とする言説に途中からげんなり、結局かたちにはしなかった。

 私の同世代のユダヤ系のインテリなどもそうで、ある男はソルボンヌでセリーヌで博士号、小説も書き、また300頁近くの「日本の赤軍の歴史」を上梓している。写真も豊富である。
 では、パレスティナ親和的かというとそうでもなく、また当然ながらF.ファノンなども全面的に拒否していた。ま、この頃は仏ではファノンはほぼアンダーグラウンドだったけれども。

 日本赤軍史は「Fanatique」というタイトル。「狂信者たち」という意味。別に著者は赤軍に興味があったわけではなく、要するに西欧的思考では「理解できない」神秘的な暴力、要するに「オリエンタリズム」だった。

 勿論、部落問題(F.サブレ)や公害問題(P.ジョバン)の専門家などまともな研究をしているフランス人はいたけれども。
 しかしポールも第三世界主義には嫌悪を示していたなー。

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 「ディアスポラ」研究、個人としては論文にはしなかったけれども、共同研究として2012年の『移動と革命』(論創社)として上梓しました。

 冒頭で中欧・東欧研究者の小沢弘明さんと中東研究者の栗田禎子さんとの長い討議。

 論考として、今や日本における仏語圏移民研究第一人者の森千香子さん、米国の黒人、生殖の政治のこれまた第一人者の兼子歩さん、森崎和江研究の第一人者・日本近現代思想史の水溜真由美さん、近代日本社会主義思想史の大田英昭さん、プルードン研究者の金山準さん(『プルードン:「反絶対」の探求』を近年上梓)、ベ平連など近現代日本思想史の神子島健さん、政治思想史の柏崎正憲さん、などなど多彩なメンバーが参加しています。

 金山準さんと神子島さんは、『ロシア・シオニズムの想像力』(東大出版会)の著者、鶴見太郎さんと東大駒場相関社会科学専攻の大学院のほぼ同期にあたります。

 しかし、この本、ほんとは遅くとも2011年には出版予定だったのになー。

 ともあれ、ご関心の或る方はご一瞥いただければ幸です。
 

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