やはり、マイクを使わない劇場でのライブの発声、演技、そして身体のパフォーマンスと映像で必要とされる演技はまた別、ということなのでしょう。
さて三つ目は1980年の『獅子の時代』、山田太一(『二十四の瞳』などで知られるゲイの映画監督木下恵介の弟子)脚本です。
ここでは実在しない薩摩と会津の下級武士を、それぞれ加藤剛と菅原文太が演じます。
福島原発事故後につくられた『八重の桜』の主要登場人物が、会津藩の家老など最上層部であることと対照的です。
そして、伊藤博文(根津甚八)の秘書として民間の憲法草案を収集していた加藤剛は、伊藤から「大日本国憲法草案」を聞かされて、「天皇?」と絶句し、激怒します。
父や兄を戊辰戦争と西南戦争で失った加藤によれば「それでは何のための維新だったのか?」、「支配者が上にいることを認める社会では幕藩体制と同じではないか」と啖呵を切り、伊藤と決別しますが、結局「主権在民」的な憲法私案を持ったまま、暗殺されることになります。
菅原文太の方は秩父困民党の蜂起に参加した後、全国にいる「同志」を結集すると言って信州に落ち延びて行くところでドラマは終わります。