「フォークロアからサブカルチャーへ」中・5
ここで、1950年代くらいまで残存していた「フォークロア」的なものに戻ると、これは高度経済成長時代に急速に解体され、1970年代後半には、広告産業と結びついた「サブカルチャー」へと転化していった、というのが現在の私の見立てです。
そして日本の「サブ・カルチャー」は・・・例外はあるものの・・・概ね「フォークロア」がもっていた「自立性」も喪失し、消費社会の浸透の中で広告産業・音楽産業の主導のもとに再編されていったと考えられます。
この点、たとえばリズム&ブルース、ジャズ、レゲエ、ラップなどが「黒人コミュニティ」に根差した「カウンター・カルチャー」としての性格を強く帯びていたことと対照的です。
そして、高度(後期)資本主義社会のなかでは、ラップの創始者たちさえ、「今や、ラップは商業化され、原点を見失った」と嘆くまでになっている。それほど資本主義の「包摂力」は強力です。
ちなみに日本でR&Bと言われるのは、黒人音楽「リズム&ブルース」のことであって、E.プレスリーの「ロック」はこの「リズム&ブルース」を消費社会突入初期の白人中産階級の青少年用にマイルドにアレンジしたもの。