フォロー

 「フォークロアからサブカルチャーへ」中・2

 その意味では、戦後の「社会構成史」の問題設定による荘園制の研究へのある時期までの集中特化は、「支配」・「収奪」の様相を明らかにしよう、とするそれ自体としては非常に重要なものであったと評価できます。

 その結果、中世「荘園制」といっても初期荘園と後期の「寄進地」系の荘園の差異、そして「律令体制」との妥協としての「荘園・公領制」の成立など、より緻密なストーリーが「実証的に」明らかにされていったわけです。

 しかし、この「荘園制」への「社会経済史」的アプローチでさえ、近世以前の「民衆の生活」の具体的な様相を明らかにすることは出来ませんでした。理由は単純で資料が圧倒的に不足しているのです。

 柳田国男・折口信夫などの「民俗学」は「文献資料」に依拠した「歴史学」を批判し、前者は「民間の口承伝承」などをかなりシステマティックに収集しますが、この「民間の口承伝承」はほとんどの場合、「近世」以前には遡及できません。

 いわゆる「村の古老」の伝承は「村」を前提としますが、日本の「村」のほとんどはそれこそ「応仁の乱」以後に成立した「歴史的」なものだからです。「近世」に大量に出てくる「村方文書」などはさらに時代を下ります。

 

ログインして会話に参加
Fedibird

様々な目的に使える、日本の汎用マストドンサーバーです。安定した利用環境と、多数の独自機能を提供しています。