日高六郎『戦後思想を考える』から
「労組の場合、未組織労働者やパート労働者や臨時労働者に対して、どのような平等主義が約束できるのか、できないのか、それが問題の鍵である。」ー正規と非正規の格差はもはや「疑似階級」と見做させるまで拡大。この「階級」は世代を超えて再生産される。
「衆院選の棄権率を三分の一として、有権者の三分の一を獲得できれば過半数に達する」ーこれは現在では小選挙区制のお陰でさらに容易になっている
「個の復権ぬきにした「人間復権」は考えられない。・・・自立として個人主義は、資本主義より長生きしてほしいし、長生きしなければならない」ー「人間」という概念から独立した「個」の問題は日高さんも同人になった『近代文学』グループが提起した。
『近代文学』とは埴谷雄高、武田泰淳、野間宏、堀田善衛、椎名麟三、中村真一郎、花田清輝などの「戦後文学」のプラットフォームになった雑誌。日高さんは社会科学者として唯一同人となった。加藤周一は唯一の自然科学者の同人。
1960年代以降、吉本、江藤淳などの批評家は三島由紀夫などとともに、執拗に「戦後文学」を攻撃。彼らとしては「敵」を見誤ってはいなかったのである。
吉本、江藤淳が戦後の「批評」とされるようになってから、日本語批評の衰退は決定的になった。