一般論としては、各々の国の中等教育の内容は、それぞれの国が決定する。
しかし「例外」はある。例えば現在の国際社会の土台=合意としての「反ファシズム」。
例えば、ドイツの中等教育で「ナチスもよいことをした」という内容をドイツ政府が主権国家の専権事項、と主張することはできない。あるいは「ホロコースト」を広告のネタにすることは許されない。
日本の中国侵略や「従軍慰安婦」=「性奴隷制」も同様。
ただし、植民地支配に関しては連合国側も、WWII終了時点では継続するつもりであり、植民地支配の記憶の伝承については、「ファシズム」の記憶と別扱いになり、20世紀中は混乱が続いた。
日本国内でも、ある時期までは1931年の満州事変以降の侵略が前景化し、1880年代からの日本の朝鮮侵略、植民地化への反省はやや遅れ気味だった。
しかし、オランダ、ベルギーの例に見られるように21世紀に入ってから、植民地支配の記憶に関しても、世界的に見て潮目は大きく変わった。
もう一つの「例外」は核兵器。これは主権国家を含む全世界の生存に直接関わる問題であるから、単なる主権国家の専断事項となるべきではない。
核兵器の使用がどのような「惨状」を引き起こしたかは、全人類が知ることが望ましい。