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BT)『コレアン・ドライバーは、パリで眠らない』の著者、洪世和さんには、一度だけパリのクスクス料理屋であったことがある。あの時、今は同志社大学グローバルスタディーズ研究科教授の菊池恵介さんも一緒だった。いろいろとお話を(仏語で)聞いたことを記憶している。

 パリには朴正煕軍事政権からの亡命者の方も多く、その中の一人はEHESS(社会科学高等研究院)の韓国研究センターの初代所長もいた。デリダのゼミ(講義)に出た後、ラスパイユのカフェでいろいろとお話を伺った。

 一番驚いたのは、パリで博士号を取った後、KCIAに誘拐され、韓国に連れ戻され、投獄された、という話。その際は、「仏で博士号を取った人間」ということで仏政府が交渉、釈放の上「国外追放」という形で帰仏。

 その後、研究者として仏でキャリアを積んだ。民主化後、韓国には帰れるようにはなったが、もうフランス人と結婚して家族もこちら、「私はもうフランス人です」と少し寂し気に語った表情が忘れられない。

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