「ケンブリッジ・アナリティカ」事件
欧米で急速に「SNSの負の効果」に議論が傾くきっかけになったのは2016年のトランプの大統領当選でした。
この際、ケンブリッジ・アナリティカという英国に本拠を置く、ビッグデータ解析を基にした選挙コンサル会社がFBのユーザー情報を基にトランプ陣営の広報戦略を担当していたことが内部告発で明るみになったのです。
トランプの選挙参謀であったS.
バノンは、ケンブリッジ・アナリティカの役員をしていたこともある。
同社はトリニダード・トバコの選挙にも介入、「黒人」に「積極的棄権運動」を浸透させ、この際は「見事」成功させます。また2016年の英国のEU離脱の際にも「ブレグジット」派の選挙広報を担当。
これらの実績とコネを使って2016年の大統領選も巨額の報酬で担当。
ただし、このSNSを使った広報とトランプ勝利との因果関係は実証されていません(2016年の選挙に関しては拙論文「リベラル・デモクラシーの終焉?」『世界』2019・2を参照して下さい)。
しかし、「予想外」の結果になった英米の中道系パワー・エリとは、一挙に「SNS有害論」に傾きます。勿論、負の側面は枚挙に暇はありません。
ただし全てを「SNSのせい」にするのも非合理的。ここは微妙な所です。
ケンブリッジ・アナリティカと「積極的棄権運動」、そして東浩紀と三浦瑠麗
ケンブリッジ・アナリティカ(以下CA)は2016年の米大統領選への関与に際するFB5000万人の個人情報を利用していたことを内部告発されます。
その後、FB創業者・CEOのマーク・ザッカーバーグが米上院公聴会に出席する2018年4月10日の直前、4月4日に「8500万人」のデータ流出の「可能性」をFBが発表。
10日の公聴会では、サッカーバーグは上院議員たちの「技術的無知」も利用しながら「推定無罪」で切り抜けました。
しかしCAは翌月5月12日に廃業を決定。このタイム・スケジュールの背景には当然、「霧」がかかっています。(例えば、このSNSを通じた単なる情報操作を超えた選挙コンサルのプロたちのその後は?)
ただ、一つ言えるのは海外では「どちらが勝っても同じ」という「積極的棄権運動」はれっきとした「選挙戦略」の一環として認知されている、ということ。
ですから、安部政権下の衆院選で東浩紀が主唱した(後にその記憶を抹消)「積極的棄権運動」は、明晰にして判明な「自民党を利する」SNS選挙運動であった、ということです。この頃にはすでに三浦瑠麗と東は「蜜月の仲」だったのでは?