「ハイデガーと集団同調圧力」
どうも「まんが!100分で名著」というシリーズがあるようだ。
しかも『ハイデガー 存在と時間』(20世紀最大の哲学書がまんがでわかる!)とある。
そして売り文句は「同調圧力に屈しない「本来の生き方」が見つかる!」。これには笑った。
「本来の生き方」は一応「本来性」と「非本来性」と区別に対応しているのだろう、たぶん。
しかし、『存在と時間』においてハイデガーは「共存在mitsein」としての「民族 Volk」を哲学的に基礎づけようし、実際熱狂的なナチスシンパ(党員)だった。この考えは戦後も改めていなかったことが死後出版の史料などから現在は明らかになっている。
であるから、ハイデガーを読んでも、同調圧力への熱狂の中に「実存」を消尽することはありこそすれ、同調圧力から「自由」になることは決してない。ま、扶桑社のマンガだからそこまで心配する必要はないだろうけど。
たしかにハイデガーは哲学者、特に哲学史家としては並外れた才能の持ち主。しかし思想家としては、ナチスに熱狂する「凡庸な羊の群れ」の一人に過ぎない。この点は、弟子のガダマーでさえ認めている。
しかし21世紀にもなって、まだハイデガーの「存在論」の可能性を云々する人たちがいるのは困ったものだ。
@yoshiomiyake
哲学科の講義でハイデガーと対決中の長女も同じことを毎晩オイラに愚痴ってます😅
オイラに愚痴られても困るんだけど…
@ntakkie さん、
なるほどー。それは講義でハイデガーを批判的に扱っているということでしょうか?学
@yoshiomiyake
講義ノートもチラ見させてもらったのですが、まだ学部3年対象ということもあって講義内容自体は「批判以前」でした(苦笑)
彼女が言うには「Geheimnisって、何だか許せないんだよー」とのこと…
講師の先生が、隠匿と顕現、そしてその払いのけというプロットを度々引き合いに出している辺りが彼女の実存観とは相容れないのかもしれません。
この扶桑社のハイデガー漫画本、どうも本当にNHKで喋った人が監修らしい。
知らない人だったが、調べてみたら、一応「研究者」なんだー。これは驚いた。つまり、自己判断で扶桑社と連携している訳だ。
しかし、日本の哲学・倫理学、昔から「哲学」学、「倫理学」学、と言われ、政治・社会・歴史・経済に「無関心」と批判的に言われてきたのだが、この傾向どうも究極の段階にまで突入しつつあるようだ。