「『哲学の貧困』、マルクス、フランス語で書いたのか。
(いつかテクストに使えるかもしれないなどと、すぐ邪な考えを起こすようになってしまった。)」by スパルタクス
いや、スパルタクス君、『哲学の貧困』、そもそもフランスの社会主義者の間でヘゲモニーを採るために、プルードンの『貧困の哲学』を恣意的に摂取・引用して書いたので、仏語なのです。
ただし、19世紀中はマルクスのフランスでの影響はほとんどなし。パリ・コミューンもプルードン主義者とブランキ主義者主導。
実際は、マルクスはフランスに亡命してから「社会主義」を知ったので、プルードンの影響はかなりあるだけれども。
最も影響を受けた思想家を後から「ぼろかす」に言うのはマルクスの悪い癖。
『ドイツ・イデオロギー』の「聖マックス」で槍玉に挙げられているシュティルナーなどもその典型。
マルクスの方からシュティルナー的な問題設定を読み込もうとしたのが、『資本論』仏語版を詳細に検討した平田清明になる。
この平田清明的な学統、残念ながら、今は断絶したけれども。
ただ、アクチュアリティーは失っていないとは思う。
例えば、バリバール的な民主主義論は、平田清明に近似してくるのは当然、それだけ社会思想史は日本が仏より先を行っていた。