アキ・カウリスマキ、27歳のデビュー作「罪と罰 白夜のラスコーリニコフ」
ヌーヴェルバーグと小津安二郎の影響がきわめて強く、まだ後年のカウリスマキの作風ではないとは言え、映像的完成度は非常に高いです
。
ただ、最後は微妙な流れながら、結局ラスコーリニコフが自首(懲役8年)する点は、ブレッソンの「罪と罰」ではイギリスに亡命して、恋人ものち合流、そのまま逮捕もされず、「暮らしました」という落ちとは異なりました。
ブレッソン(これもヌーヴェルバーク的映像)の方はいかにもフランス的ですが・・・
とは言え、カウリスマキ・バージョンでも「大地に接吻して許しを請う」という流れではなく、監獄でもあくまで「反社会的」な姿勢を崩さず、というラストです。
カウリスマキやドストエフスキー、あるいは小津安二郎がお好きな人にはお勧めです。