ゾンビ化する「直系家族」(3)
-新自由主義と醇風美俗
しかし、この場合、専業「主夫」が必要になります。
これ、統計的に出生率を向上させるのは、日本では「遠い将来」のことでしかないでしょう。
とすると所得が下がる=カップルが共に働く、という条件で出生率を上げるには、教育・福祉を公共負担するしかないのです。
例えば、フランスは大学まで基本授業料無償、保育園在り、そして「母」規範の社会的圧力は日本・ドイツとは比較すれば僅少です。
ですから、フランスが「先進国」で唯一出生率が低下していないのは、「国民性」という曖昧模糊としたものではなく、制度的な裏付けがあるのです。
日本は、逆に教育・福祉負担から国家が完全撤退しようとしています。軍事費倍増でこの傾向にはさらに拍車がかかるでしょう。
これに対して自民党と保守は「醇風美俗」=「家制度」=女性の隷属しか唱えていません。
いわば、すでにゾンビ化した直系家族の理念を唱えているに過ぎない。
ネオ・リベ新聞である「日経」が福井の「醇風美俗」を褒め上げること、偶然でしょうか?
むしろ、新自由主義が福祉国家を破壊しつつ、米国では宗教右派、日本では「ゾンビ直系家族」を称揚すること、このことには構造的類似性と必然性がある、と考えるべきでは?