「フェリシテ」(2017年・ベルリン映画祭銀熊賞)
コンゴの首都、キンシャサの場末のクラブで歌う女性フェリシテの精神の死と再生をマジック・リアリズム(魔術的リアリズム)的手法で描いた映画。
この映画は、マジック・リアリズム的方法を、まったく「ことさら」感なく、ストーリー、画面構成に生かしています。
また、キンシャサの場末の「路地」感をドキュメンタリー的方法で描いている部分も成功してます。
監督は父セネガル人、母フランス人のハーフ(ダブル)。フランスではアメリカとは違い、俳優の黒人さえ稀。まして監督となるとさらに少ない。
もちろん、アメリカでも監督となると、スパイク・リーなど少数の例外を除くとあまり例がない。
また、俳優、アンカーなどメディアで黒人がある程度登場するからと言って、社会では人種差別がなくなったわけではない、
米国では人口の1%前後が1990年代から刑務所に収監されており、その大半が黒人。
黒人男性の半数近くは収監経験があります。
一方、フランスではマグレヴ系の俳優はここ20年で映画に頻繁に出てくるようになりましたが、監督となると、やはり稀。
黒人となると、さらに稀となる。
いずれにせよ、ここしばらく低迷傾向にあったフランス映画で久しぶりの快挙だと思います。