オフ会は、参加者が顔を見合わして、ほぼ確実に「あんた誰?」状態で始まる。
その時、各自は頭の中で、自分が知っている垢と目の前の物体としての顔を懸命に紐づけようとしている。
垢名を教え合うことでこの紐付け作業が終了することもあれば、垢名を全て覚えている人は稀有なので終了しないことも多い。
その次の段階で、過去ツイったことや、絡みエピソードなんかを話してみたりして、ある時、あっ!あの人か!となって安堵する。
自分が知っているあの人というのは、その人の二次元世界の言動で成り立っている。それが物理的に三次元の物体と紐付けされる。
これはアイデンティティがどこにあるかについて示唆的だ。所属組織や役職や出身校や偏差値や年齢や性別や年収や資産や家系や出身地がその人のアイデンティティを作るわけではない。
その人が何を考え、何を言う人なのか、それがその人であり、それと目の前の顔という物体に紐付けされた時初めて我々は“分かった”と思う。
オフ会はあちこちで”分かった!“の小さな火花が散る会でもある。
日米英の教育機関で放蕩した。P2からD1まで国連で26年働いた。仕事のほとんどは戦場だった。難民保護、人道支援、平和維持活動、対テロ対策、平和安全保障センター長、ブロックチェーン顧問などの仕事を経て、 2019年国連を退職した。大阪大学大学院招聘教授。著書『カブールノート』幻冬舎2001年。