1) 帰国して出版・TV界の人たちと話して、出版物の質もTV番組の質もますます悪化していくとほぼ確信した。本が売れなくなったとはこの30年くらいずっと言われているけれど、それが加速している。まともな本が売れなくなったので、出版社はなんとか飯を食っていくためにクズ企画本に手を出してしまう。

2) クズ本を売ってでも収益をあげて存続を図るか、創業当初の理想を追求して廃業にいたるかとういう状況に追い込まれたら後者を選ぶのは不可能だろう。しかし、出版社の中でも収益をどんどん伸ばしているところもある。クズ本だけでは伸びない。マンガというコンテンツを大量に持っている出版社だ。

3) アニメと言うべきか。これらの出版社は海外に販路を開拓して、巨大マーケットに参入し、円安の恩恵もあり莫大な増収になっている。日本語出版物がしょせんは小さなマーケットの取り合いで、しかもそのマーケットが縮小しているので勝っても負けてもどうせしれているということでもある。

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4) これからは外貨獲得能力があるかないかで企業の命運が分かれるのは、どんな業種でも同じだろう。国内マーケットが大きいから、そこでやっていけるという時代は急速に終わりつつある。かつて良質な書籍を出版していた老舗出版社でもアニメ海外展開できないところはクズ本に手を出してしまう。

5) 老舗の大手出版社がクズ本を出版すると、クズ本にお墨付きを与えてしまうので、むしろ倒産した方が良いのではないかと思うが、企業が自殺することはないだろう。そういう出版社がどんどん倒産しても、クズ本出版社が残るだけで、本屋がクズ屋になるだけのことだ。

6) テレビも同じことだった。かつて次々に良質の番組を作っていたプロデューサーの居場所がもう無い。馬鹿ワイドショーにバカ識者という勝ちパターンに納得せず、良質な、しかし視聴率1%の番組を作るプロデューサーの肩身は狭い。

7) 彼らは僕が出版やテレビをミソカスに言ってるのをよく知っている。だから、身も蓋もなくストレートな、でも静かに沈んでいく船をなんとかしようと言葉と焼酎を交互に重ねる。あまりの無力さが滑稽に感じるそんな話をNYCに帰ってベッドで天井を見上げながら反芻している。

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