MyFFF2024バンリューの記憶を扱った“熱くない”「フランス郊外映画」として印象に残った連続に『新凱旋門物語― ラ・グランダルシュ』を読みました。同じグラン・プロジェのひとつ、オペラ・バスティーユ建設の勝利の物語(『Building Bastille』 (2021))とは裏腹の、象徴的な中身を失った巨大モニュメントの礎石に埋められた厳格なフォルマリストの、白い大理石の下の切り売りされた都市のリミナルスペースの憂鬱さの、しかし今も門は霊感をたたえ巨大なヴォイドは中心から郊外へ抜ける力の導線として生き続ける。伝記になれない不安定な震えの上に建つ建築小説でした。
小説ではミッテラン=専制君主/建築家の関係性がわりあい戯画的に書かれていて、建築事務所を従え国際コンペを勝ち抜く現代のつよつよ建築家は権力者について何かコメントは…とお手軽にググったコールハースのインタビュー。うーん大阪万博
>絶対的な権力をもった建築主を欲しがる建築家など、いるはずがない。心の底の、そのまた一番闇の深い片隅にさえ、そんな考えはあり得ない。最初に権力者の犠牲になるのは、自分達だ。
https://www.ssense.com/ja-jp/editorial/culture-ja/deep-diving-with-rem-koolhaas?lang=ja