ブラック・ミラー 虫けら掃討作戦
好きとは言えないしまあありがちではあったんだけど、今このご時世で見るとより興味深く意味深い作品のように思う
丁寧に意図的に外された「白人男性」と「金髪女性と黒人男性以外の属性」
黒人と白人だけなのは構図の単純化がしたかったのと、純粋にドラマの制作背景にある社会の差別構造だとは思うけど、とにかく意図的に「加害者」から白人男性が外されており、そのかわりにドイツ系を思わせる顔立ちの金髪女性が代入されているのがこのブラックミラーシリーズで明確な構造だったなあ
このブラックミラー、全体的に女性を登場させる時「女体」として表層化されていることが多い
多分、脚本家があまり女性をリアルに描けない、描く必要を感じない人で、登場人物のバランスを考えて「全員デフォルトで男性目線のMAN」として人間を登場させているだけなんだろう
男女の社会的力勾配に鈍感、あるいは完全に無視しているありがちなやつ
今回もそれが顕著だった
「強い女性兵士・ある程度人為的に並列化された有能な歩兵たち」という設定なのに、女性兵士のひとりはあまりにも使い古された粗暴な性依存の男性兵士のテンプレをなぞるばかりで、ただ演じる俳優が女性であるだけの男性キャラだった
他にも出てくる被害者女性は皆”母親”であるのも根深い
ブラック・ミラー 虫けら掃討作戦
おそらくこのドラマに足りていないのは、明確に「制作環境における制作スタッフの多様性」である
この制作会社・制作環境がおそらく白人男性優位でありすぎるのだろうそれを作る側はそうでも、それを受け取る側はそうではないということがわかっていないのかも知れない 白人男性優位であることに合わせろと言って通せてきた人たちなのかも まあそうだろうな
本当に惜しい
このドラマシリーズ、制作環境がもう少し幅広い状況になったら面白いだろうに
とにかくSF・未来性と既得権益・特権階級目線ってもっとも合わないテーマなんだよね……
意識的にそういうものを明確に描き出すことで問題をはっきりさせる、とかいう意図があればいいけど、
何しろそういうものはうつりかわってゆくものなので、現時点での差別や力勾配に無邪気な特権側、というのはただただ古臭さを感じさせるものにしかならないんだよな