『アーモンド入りチョコレートのワルツ』(森絵都)

上手すぎて頭おかしなる。再読。初読は二次創作が軌道に乗ってた働き始めてすぐの頃か。当時はぼんやりと「エモいな~」くらいしか感じてなかった気がする(たしか表題作への感度が低かった)のだが、自分で登場人物から舞台からぜんぶフルスクラッチで真剣に書いてるいま読むと震える。
三本の短篇集なのだが、どれも物語のセットアップが滑らかで作為を感じさせず、気付いたら物語の中に誘われている。
今回好きだったのは「彼女のワルツ」。不眠症の中学生の男女が旧校舎で逢い引きし……、という筋書き。嘘と赦しが大きなテーマとして据えられていると思うんだけど、「嘘」が真ん中にある、中学生の(狭い)視野から覗き見られていた世界が、ある瞬間にガラリと変容し、「赦し」を与える/与えられる高次な世界へとなる。気付いたら「いつ変わった?!」ってキョロキョロしていた。
感情が落ち着いたらもっと分析的に再読します。
amazon.co.jp/アーモンド入りチョコレートのワルツ

大人がナチュラルに子供を書こうとすると、世界が広すぎるか狭すぎる人物になるせいで、そこからグワッと世界の大きさが変わるような、世界の変容(カタルシス)が訪れない。カタルシスを起こせるちょうどいい、しかも「子供らしさ」を有している世界の大きさ(スイートスポット)があるんだと思う。
本作もそうだし、この前読んだあさのあつこや吉本ばななも、スイートスポットを狙うのが巧みなんだな。

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じゃあ、その「スイートスポット」ってやつを屏風から出してみせてよ!!!!!!!!!

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