『演劇入門』は私の「お話作り」のバイブルですね。
長いお話を作る前には毎回読み直しているんですが、演劇の舞台作り・台詞作りをエンタメ小説に適用する際の変更点もすこしわかってきて、演劇ほどの視覚的効果をエンタメ小説は有していないところがキーですね。
エンタメ小説では、舞台を言葉で説明せざるを得ない。わかりやすさのためには美しくない説明台詞も使わざるを得ない。だからと言って諦めるのではなく、台詞に役を割り振っていく。感情のため、状況の説明のため、物語の進行のため、単なるユーモアのため……。
そして、一連の会話の中でそれぞれの役をフュージョンさせる。登場人物に感情を惹起させつつそれ自体が自ずと次の状況を導くように、だとか、ユーモアで読者の認知を緩くしたところに状況説明を差し込む、だとか。
いま書いている原稿は、エンタメ小説のためで、きちんとしたエンタメ小説を書くには、私が好き勝手に書いていた二次創作よりもきちんと読者の認知に寄り添って台詞を増やしていかないといけないっぽくて、そのための台詞作り・会話作りの手法を日々考えています。