『よろこびの歌』(宮下奈都) #よしざき読んだよ
ギブ。
本作を読みながら自分の好みを改めて言語化してみると、私は基本的に人間賛歌が好きで、その中でも、ネガティブスタートでネガティブの中にポジティブを見つけ出す物語よりも、ポジティブスタートでポジティブをいったん喪い再び手に入れる物語に惹かれますね。別の観点から言えば、人は既に何らかを喪っているのだから殊更にその(物語にあらかじめ組み込まれた)喪失を強調するのではなく、持てる状態から始まって後から喪った方が輝くでしょう。
本作の主人公らは、大切な何らかを喪った(あるいはそもそも手に入れ損ねた)女子高生たちで、彼女らは31歳のおじさんとは違ってそこまで達観していないので、喪失が強調されるのは共感できるものの、小説の技法の問題として、同じパターンが3回続いて流石にページをめくる手が止まりました。