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『名場面でわかる 刺さる小説の技術』(三宅香帆)

「刺さる」小説を書こうとハウツー本を読む程度にはマメである一方でそのための参考資料を収集する手間は省きたい程度に面倒くさがり屋な(つまりほとんどの皆さんです!)方向けの本。
本書は「名場面を作れ!」に尽きます。全体としてイイカンジな小説よりむしろ引っかかり=名場面のある小説が提案されます。
名場面のために不可欠な要素は二つ。①予定調和ではないあらすじと②気分を盛り上げる演出。そうして完成された「語りたくなる」場面こそが名場面となります。
本書は、そんな「語りたくなる」名場面を日本の小説から集め、なぜ語りたくなるのか、どのようにしてそのシーンが作り上げられたのかを二十五の実例をもとに分析します。
分析は例えば、「二人の関係が変わるタイミング」は重要なことが起きていると読者にも認識させやすいので名場面となりやすい、ゆえにそのタイミングを狙えといったもの。そのタイミングは「出会い」「片思い」等々。それら全てが実例付きで解説されます。
本書は優れた分析者による分析集であると同時に、優れた読み手の頭の中を垣間見ることで読み手に「刺さる」小説を逆算できるようになるための一冊でもあります。
amzn.to/3PcYScb

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