私は仕事柄、開発者から上は役員にまで「説明」をすることが多いのですが、イマイチ相手に刺さっていないと体感することも多くありました。本書を読んで、その原因の一端が掴めたように感じます。
私は受け手の「感情」に訴える=受け手の立場になって考える習慣が足りていなかったんだと思います。孫子も「彼を知り己を知れば百戦殆からず」と言うように「相手ファースト」なのです。
本書は一見すると80もの覚えきれないほどの説明の型を解説する本に見えるのですが、読み込んでいくと、説明の真髄とはたった二つ。
受け手の「感情」に訴え、そのために受け手を「知る」ことだけなのです。
私は本書をただビジネスのためだけに読んだのではありません。本書のウラにある認知科学とそれに基づいたオモテの説明方法とは、私が求める別の技術にも転用できるのです。
それは小説の「台詞」の書き方です。ともすれば理屈っぽく過剰になりがちな「台詞」ですが、本書の技術を用いることで、説明くさくない=読書の感情に訴えるものへと昇華させることができると信じるところであります。実作において本書の技術を転用するのがとても楽しみです。