『半導体戦争』(クリス・ミラー)

半導体関係でお給金をもらっている身としては本当に興味深い内容でした。個人的には、究極のお客様であるインテルや TSMC 、あるいはソニーといった、半導体を製品の製造プロセスに含んでいる(あるいは製品そのものである)企業の歴史を互いに関連付けながら読むことができたのが最大の収穫でした。工学部のエリート達によって生み出された「半導体」という新たな技術がビジネスの種となり、経営者は工学部から会計士に移り、国家の命運を握る鍵となる。その歴史を描いた一冊。

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内容としては、とにかく半導体のビジネス!ビジネス!ビジネス! 半導体はビジネスとして生まれたごく初期こそはペンタゴンが最大の顧客であったものの、やがて CEO たちは民生品の需要を重要視するようになる。1970年代だか80年代の話だが、2023年現在にもその構造が続いている。米中の半導体を巡る貿易摩擦もまさにそこが焦点であり、結局、軍事転用されている技術であるにもかかわらず、アメリカ企業にとって(ペンタゴンより遙かに)巨大な市場である中国が魅力的すぎる。それがゆえに中国への技術移転が進んでしまう──。そんなジレンマが現代の米中の摩擦を引き起こしている。現代に関する記述はやや危機感を煽りすぎ感もあったが、歴史をここまで詳細に書いた本はこれが初めてか。

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