”第2次世界大戦でヨーロッパが荒廃したあとに、アメリカが経済力を持って学者やアーティストを自国に呼び集めたりすることで、
アートの中心をパリからニューヨークに奪還する動きをしていましたね。
これは歴史と伝統のない新興国アメリカが
ヨーロッパへのコンプレックスの埋め合わせとして絶えずやり続けなければならない仕事です。
つまり、
「俺たちは単なる成金じゃないんだ」ということを
言い続けなければいけない。
そうでなければ、
アメリカは暴力と欲望だけしかアイデンティティを持たない
「動物」へと帰してしまう可能性があって、それを常に恐れている。
だけど、それを逆にフランスも利用しているってことですよね。”
”戦後の日本では、アメリカが米軍の駐屯基地を作ったときに、軍事的なコントロールだけでなく、キャンプの周辺でジャズやロックを流して、映画館を作っていた。
石原慎太郎は、青年期に米兵に殴られたという傷を持っていたし、
村上龍はロックとコカ・コーラでアメリカを知ったと話していました。
戦後の直接的な統治という状況もあって、日本にとってのアメリカの威光はかなり身体的だったはずです。
それに対してヨーロッパは、歴史的に教養とか文化という形で、
知的な占領政策みたいなことを高度にやり続けてきたんだと思います。
今のSDGsもそういった物語の覇権性の先にある話だし、
アメリカの軍事・経済的な強さに対して、
ヨーロッパはナラティブの強さを持っているということなんでしょうね。””
https://ekrits.jp/2024/10/8559/