神林長平『戦闘妖精・雪風〈改〉』
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「妖精」という単語のライトさに騙されて読んだら肝の冷える思いをした。これミリタリーSFの皮をかぶったディストピアSFですやん…何これこわ…おもしろ…こわ…
人工知能の情報処理能力が人間のそれを遥かに凌駕してしまった時、人間は必要なくなるのではないか、という大きな問い。コンピュータを使う誰しもが思い至る問いだと思うが、機械に支配される怖さとか、人間が部品のようなものにされることへの生理的嫌悪とか色々湧いてきてきもちわるい。特に第5章を読んで、かつて無人爆撃機が現実世界に登場した時のぞっとした気持ちを思い出した。
ディスコミニュケーションの物語でもある。主人公たちは一般社会から疎外されている(隔絶を「ある種の方言」で表現するのが巧い)。そもそも、主人公たちは他人への共感性が低く、対話が極端に少ない。敵も、味方のはずのコンピュータも得体が知れない。出てくる人物はとにかく孤独な人ばかりで、ずっと冷たい金属を押し当てられているような気持ちで読んでいた。切ない。
ラストシーンは絵的に美しかったが、このまま終わりではあまりに主人公たちが可哀想だな…(続編読もう…)
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