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伊藤孝『日本列島はすごい 水・森林・黄金を生んだ大地』

chuko.co.jp/shinsho/2024/04/10

「〜はすごい」というタイトルを見るたびに、そこはかとなく気恥ずかしさを覚える。しかし今のところ、本書を含めて数冊、タイトル「すごい」の新書(主に自然科学系)を読んだが、だいたいハズレがなかった。むしろタイトルで損してないか。まあ、読み通してみると確かに「日本列島ってなんか奇跡的な偶然がいろいろ重なってできてる凄い土地だな?」と思ったので、看板に偽りなしといえばそうなのだが。

読む『ブラタモリ』という趣きの本で面白かった。専門的な話や図表も多いのでちょいちょい流し読みしたが、文章自体はわりと分かりやすいし、文学作品や歴史エピソードを引いての解説は、文系にも親しみやすい。

たとえば、松尾芭蕉の『おくのほそ道』は、東北の地質の特徴をよく捉えていると。名句『閑さや岩にしみ入る蝉の声』、多孔質の岩に音がスポンジのように吸収されるために音が響きにくいのを、「しみ入る」と表現したのは俳聖の慧眼だ、という。

読んでいると実際にその場所を歩いて色々見てみたくなる。旅心をくすぐられる危険な本である。

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