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戸部良一 ほか『失敗の本質 日本軍の組織論的研究』

chuko.co.jp/bunko/1991/08/2018

日本軍の組織論ではあるが、日本人の民族論としても読める。失敗のパターンは、今でも日本の多くの組織・集団で見られるものだと思う。

米軍のニミッツ大将が語ったという「海軍力とはあらゆる兵器、あらゆる技術の総合力である。戦艦や航空機や上陸部隊、商船隊のみならず、港も鉄道も、農家の牛も、海軍力に含まれる」という言葉が、相対的に日本の欠点をよく表している。全体を見渡す視点に欠けているので、どこかに綻びが出るとすぐに崩壊する。本書で何度も指摘されていた「グランド・デザインの欠如」ゆえに、どれだけの人をいたずらに死に至らしめたのか。

責任の所在を明確にせず「情」でなんとなくものごとを決める。なんとなく決めているから分かりやすい精神論に固執する。そしてもし失敗したら、下級兵士や一般市民がどれだけ死のうがどうでもよく「仲間内に恥を晒した」ことは反省する。恥なので失敗を認めないし検証もしない…現在の政治まわりと実によく似ている。似ているどころか「今は完全に戦中なのでは」と思えるほど同じである。なので、今後もし日本で戦争が起これば、太平洋戦争と全く同じか、もっと酷い結果になるだろうとしか思えない。

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