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赤坂憲雄『排除の現象学』

iwanami.co.jp/book/b621806.htm

初出は1980年代だが、今の話かと思える。つまり、40年前と現在が全く変わっていない、昭和・平成・令和の3時代を経ても、日本人の心性が成熟していない(或いはここ数年の社会の腐敗によって退化した)のであろう。げんなりする。

赤坂氏の著書自体は初めて読んだが、最近、氏の講演を聴く機会があり、「定住と遊動」をしばしば論考のテーマに据えていることを知った。この本の中心もまさに「定住=社会」の内と外の話であった。

定住社会では漂泊者は「外敵」とされ、「敵」はそれが「謎」(理解しがたいもの)である限り、敵として存在を必要とされ続ける。しかし本当の敵は「内」にあるのではないか。その内側の不安を仮託せられた「生贄の羊」が、社会(集団)の「敵」として顕現する。

本の中に、その理不尽な排除の構造をどうしたら解消できるかというはっきりした答えはない。より多くの人が排除の構造に気付くことが肝要だとは思う(現在は敢えてそれを無視し排除を煽るような著名人も散見されるので、より悪質になっている気もする)

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