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ガッサーン・カナファーニー『ハイファに戻って / 太陽の男たち』

住む土地を追われたパレスチナ難民であり、武装組織に参加して暗殺された活動家でもあったという著者の経歴からすると、終始怒りと悲しみに満ちてはいるものの、ドキュメンタリー映画のような語り口の静けさに、どれだけのものを失ってきたのだろうかと深い闇を見る。

イスラエル人の描かれ方を見るに、ホロコーストを逃れヨーロッパを追われてきた人々の嘆きにも心を寄せていたように思われる(シオニストが台頭してくるまでは、ユダヤ人と良好な関係を築けていたそうだ)。また、収録作の中には、イスラエル人に追い出されたアラブ人が、その逃れた先のイスラエル人を脅して家に上がり込む、という展開があった。弱いものが弱いものを虐げる暴力の連鎖と、悪は状況次第で生じるのであって、どちらが悪いということではないと考えていたのかもしれない。しかし、最終的に著者は一方的な収奪に抗うため銃を取ることを選んだ、という現実の重さ。そして著者が亡くなって半世紀経っても、パレスチナの状況が変わらないどころか酷くなっていることの重さ。

kawade.co.jp/np/isbn/978430946

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