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『開かせていただき光栄です』
『アルモニカ・ディアボリカ』
『インタビュー・ウィズ・ザ・プリズナー』

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皆川博子の英国ミステリ三部作を一気読み。御年80を超えてなお、こんなパワフルに全力疾走するような物語を書き続けておられる著者には改めて感服する。

まだ警察機構も整っていない、法の沙汰も金次第の汚穢にまみれた18世紀の英国(と、その植民地)を、謎めいた美貌の青年とその仲間たちが駆け回る。二転三転する物語がミステリーとして面白いのはもちろんだが、3作すべてに共通するのは権力の不均衡による不条理なので、なぜ無辜の人々が蔑まれ虐げられなければならないのかという社会への怒りも満ちており、主人公らとともに怒り、抗う人々の姿に勇気づけられもする。1作目には胸がすくような展開もあるのだが、2作目、3作目と進むにつれ、憤怒と悲しみが層のように降り積もっていく。そして3冊を読み終えて、「彼」の結末に嗚咽が止まらない。

それにしても表紙が美しい。並べて悦に入っている。

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