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宮田登『弥勒』

弥勒仏といっても、遠い未来に現れて衆生を救う菩薩であるという程度の認識しかなかったので、民間信仰としてかなり多彩な姿を持っていたことに驚いた。

印象に残ったのは、阿弥陀仏の浄土信仰との違い。阿弥陀浄土は往生によってたどり着く(浄土に上る=上生)のに対し、弥勒仏の兜率天は弥勒(救世主)が現れるのを待つと、しかるべき時には現世が浄土になる(浄土が下る=下生)という考え方で、下層民に支持されたという。
古来、資源の乏しい日本では寄り物(漂着物)が生活の糧として重要だったせいなのだろうが、外から来たものをありがたくいただく日本人の性質は、他力本願とか救世主願望(凄い人が現れて状況を打破してくれる)に寄りやすいのだろう。だから今でも、組織が腐りかけても内部から変革の動きは起こりにくく、上からくだってくるものを無批判に受け入れがちな国民性なのだろうな…

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