「ファイバーアート、サイコー」展|2024.2.19〜3.3|京都芸術大学ギャルリ・オーブ
・出展作家:青谷徳子、岩﨑萌森、碓井ゆい、大谷史乃、岸田めぐみ、酒井稚恵、佐々きみ菜、塩見友梨奈、武田梨沙、寺村サチコ、天牛美矢子、土井直也、長田綾美、濱田菜々、マツムラアヤコ、宮田彩加、村田のぞみ、山下茜里、吉本直子
先日フライヤーを拾いました(なぜか画像がうpできない……)。現在京都国立近代美術館で「小林正和とその時代─ファイバーアート、その向こうへ」展が開催中なこともあってか、「ファイバーアート」という(サブ?)ジャンルに改めて光が当たっていると思われる中、この機を逃さずに企画された展覧会といったところでしょうか。確かに「小林正和と(ry」展は、小林正和(1944〜2004)や彼と同世代〜次世代のファイバーアーティストたちの作品を──次世代のアーティストたちの(同展のための)新作も交えるという奇手すら使って──ふんだんに紹介することで、ではそんなファイバーアートとやらの現在はどうなっているのだろうかと来場者に思わせるに過不足なき出来となっており、その点でも画期的ではあるのですが、この「ファイバーアート、サイコー」展は、出展作家陣を見るに、確かにファイバーアートなるものの現在をまずは包み隠さず幅広く見せることに特化しているように思われます。
ファイバーアート、ファイバーワーク、ソフトスカルプチャ、テキスタイルアート…これまでさまざまな呼称で呼ばれてきた繊維を使った造形。現代アートはあらゆるものを包括し、繊維を使って表現する作家にとって、これらの呼称は意識せずとも、表現することに不自由のない活動の場は用意されています。ただし同時に、ファイバーアート隆盛の「その後の作家たち」にとって、繊維を使って作品をつくることは、自分の表現する領域がどこなのか、常に立ち位置を確認しながらの作業であり、その足場の不確かさに根を張ることができずにきたようにも思います。
ファイバーアートが再興される日が、そこまでやってきています。再びファイバーアートが注目されようとしている今、「その後の作家たち」が、あらためて繊維の造形について再考し、新たな基軸を立てられたなら、「ファイバーアート最高!」と声高に叫べるようなおもしろい景色が広がるのではないかと期待しています。──このあたりの問題意識や意図がどの程度まで出展作家たちによって共有された上で作品が出ているか、まずはそこに注目してみたいところ。さて……