遺灰は語る、なんか謎に面白かった、話としてはちゃんとわかるのに全部がなんだかよくわからない映画であることに興奮したな 死と故郷、戦後イタリアでシチリアに戻されるピランデッロの遺灰というプロットが軸にはなってるのだが、これはいったいなんの話なのか、最後までよくわからない 美しいわからなさ
代わりにすごくいい画面がたくさんある。扉から近づいてくるたびに歳を取っていくこどもたち。墓から取り出される遺灰のとこで車の前で喋ってるふたりに当たる日差しの明るさ。走る汽車の中で踊る男女の入れ替わる顔がずーっと同じ位置から映されてるところ。若いカップルの「知らないけどきれいだろ?」。まぶしいほどの月明かり。変な帽子。ベランダに出てるお爺さんの顔の皮膚の分厚さ、演劇人たちの横顔の完璧なポートレート性。巨岩の圧倒的な存在感。飛び上がり足を打ち鳴らす彫刻家の後ろ姿。なんの引用だかわからないけど引用されるいろんな映画とのシームレス。
青い青い海色で染まる画面…ここから終わりに入るのかな?からの、え、短編?しかもこんな内容なの?という構成の奇妙さにもポカンとなる
ある種の走馬灯映画であり亡くなった兄にささげられた映画でもあるわけだが、その割に謎に軽やかなのは老齢の監督らしさであろうか ほんと不思議な映画だったな