場面ごとの切り上げ方がすごく上手な印象を受けた。焦らないし、無駄にも引き伸ばしていない。止まるところではしっかり止まるし、動くところではしっかり動く。美しい肉体の美しい運動を見ているのと同じ種類の、映画そのものの身体性みたいなのが感じられる。
全体の流れとしては「これまでもいたし、これからもいる」に集約されているのだけど、そこだけにどうしても収められないものが溢れ出してて忘れがたいのだ。底が抜けたのをダクトテープで塞いだボロボロのリュック。「若くて美しい、なんだってできる」に「あんたも俺もそれが嘘だとわかってる」と返していたこと。幻想を抱くシーンのドリーミーかつ猥褻なネオン。激しいホモフォビアの一方で見回りも仲間の息遣いも気にすることなくベッドでみんなが手淫にふけっている就寝後の赤いライト。敵を殺せるように、の神への祈り……美と殺戮のすべて、という言葉につながるような。
それにしても『ジャーヘッド』ってやっぱり当事者にリアルな手触りのある戦争映画なんだな。
不条理で矛盾した男社会の究極で命を脅かされながらもなお「諦めない」者になった主人公が終盤に「諦めない」を別に向けるとこもすごかったな。あの落とし所からあのエンドクレジットは凄みしかないやね……いやよいものを見ました。