『ディア・ピョンヤン』がとてもよかったヤン・ヨンヒ監督の家族ドキュメンタリー三部作(という認識でいいのかな?)の続き『愛しきソナ』(こどもたちが本当にかわいい、90年代~2000年代の映像資料としてもかなり貴重な情報が詰まっているのではないか)を見てから『スープとイデオロギー』を見たので今とても感慨深く、その奥行を噛み締めている。これは再び『ディア・ピョンヤン』から見返したくなるね…もはやよく知っている親戚とか近所の家族の話を聞いている感覚になっているので…
老いゆく親となかったことにしたいほどの記憶を記録することの困難さ、語られなかった言葉が飛び出すタイミング。
スクリーンを飛び越えて家の匂いまで伝わってくるような「実家の感じ」を自分の姿を含めて撮ってきた監督の集大成。もっとも劇映画的な撮影・演出がなされている(点滅する階段上のライトとうろうろするオモニ!スコアはチョ・ヨンウク!)。そしてそれがとてもうまくいっている。一方でダーリンの謎Tシャツセンスとかギョッとするような電話で声を荒げるシーンとかドキュメンタリーでしか撮れない感じも。
家族の記録を撮り続けることってこういうことでもあるのよね。「つらすぎたことは忘れるのもいいのかもね…悪いことしたほうは忘れちゃだめだけど」
未見でしたら、ぜひとも3部作を順番通りに見ることをおすすめしたいと思います。「スープ」で実家の前の景色が出てきてオモニが軒先で水まいてる時点でもうねえ…見覚えがある景色が出てくるたびにもうねえ…最強の実家映画ですよこれは…
それぞれの物語があって、それぞれの人生があって、家族であってもこうしたタイミングまでは知ることが困難なことはいくらでもあって
監督が基本的にすごい両親にかわいがられてきた娘感が強くて「末っ子力」みたいなのが発揮されてるのもいいんだよな