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『悪は存在しない』面白かったなー。過去作では良くも悪くも違和感になってた(すごいと思うけど)異様なロングテイクも今回はそれだけで面白いところまでいっているし、何より冒頭から何もかも不穏すぎるのが妙なユーモアを宿らせている。誰の視点だよ、が連発されるカメラワークも楽しいし、全体に「騙し」という映画の本質だけでやりますんで今回は、という軽やかさがある。惹句の「これは、君の話になる」も含めて正調とみせかけるのがうますぎて「なんで???」になるのがおかしすぎた。

そうなったらそうなるよね、を反復させながら謎の地平に連れていくのがこの世の外の生き物みたいな花ちゃん(ひとりだけ「にんげんのこども」性が低い綺麗なお顔と髪をした花ちゃんは他の子たちと遊んでるとこがどこにもないのだ)、あの子は開拓四世か。

という意味でまさかここで「日本人が移民だったころ」と繋がるとは思わなかったよ!いわゆる辺鄙な地とされるとこの描写の説得力に唸った。濱口監督は「概念としての」の人かと思ってたのでそういう複層性も含めた細部の「知ってなきゃ書けないこと」が全面に出てるのすごいなと思った。加熱式タバコと紙巻きタバコの使い分けもいいし、息の白さか煙草の煙かわからないポーチのシーンとかも忘れがたい

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