「パスト ライブス」の話。多少展開に触れています
全体の印象としては悪くないんだけど、想像していた抑制によって情動を高める感じとはだいぶ違ったな。台詞だけでなく静かなシーンでも全部「説明的なもの」が映っているので……そこまでエモくしなくても……でもリファレンスがエターナル・サンシャインなら当然といえば当然か。
現在パートのグレタ・リーの動きや表情が「東アジアっぽくない」感じになってたのはすごくよかった。脚の投げ出し方とか、ハグの仕方とか、なんか「ナヨン」はあんなふうにしなかっただろうな、「ノラ」なんだろうな、って思ったよ。そういう身体や表情の話としても伝統的すれ違いロマンス劇の今の形としても悪くない。
一方でこの話にしては饒舌すぎるのでは、というのがなあ。そういう意味では冒頭がいちばん素晴らしかったな。あの「外の声」から「内側」に入っていく、とても美しい幕開け。が、どんどん説明が増える。
(ここまであますところなく全部伝えなくても…)と思ったあとで、でもこの映画はこれでいいのかな、とも。「全部伝える」側の国にスライドした人が最後の最後に示す「言えなかった/動けなかった」(東アジア的な)身体。それでもフラッシュバックをなぜ1回にしなかったのか疑問は残り「じゃあ」で終われないのかという気持ちも残るけど……