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『君は行く先を知らない』は細部まで気を配られていて「動けなさ(ギプスが取れないお父さん)」のもどかしさを軸にしつつ、ロードムービーの中にさらに「動くこと」がたくさん持ち込まれていて、とてもとても切羽詰まった話なのにどこまでも軽やかで伸びやかで(編集のリズムのおかしみ素晴らしい)音楽と躍動にあふれていて、大好きなイン・リャン監督の『自由行』を思い出すような(立場は違うけど「彼らにそんな物語があるとはすれ違うだけなら誰もわからない」家族の話だ)力強さがあって、好きなやつでした。

2001年宇宙の旅が好きなお兄ちゃん(だと最初わからなかった)を車の外にぼんやり映す冒頭からロケーションの素晴らしさも印象に残る。川辺での長い長い対話が結局微妙に噛み合ってなくてだから心配なんだよなあ……が溢れ出してるとことか絶妙な良さ。脚本もいいがそれだけで引っ張らない「在ること」の映画になってる。

そしてなんといってもこれはちびっこのちびっこ力(アテンションスパンが短く予想外の行動をする、意外と物をよく知っている、ほっとくと常に動いて喋って止まらなくなる)の映画、小さな男の子の全身ありったけで生きているスペクタクルな運動点としての存在が突き抜けた美しさ。あと両親が「子のため」だけでなく互いを愛しているのがよく伝わるのも好き

「きっと稼いで、家も買って…」「いや、あいつやぞ」「…そうね」のとことか、ああいう親の描写いいんだよなあ。あー疲れたやっと静かになった…フウ…と「あのチビなんてかわいいの…」が同居してるとこも。そういうのの繰り返しが家族だと描いてあるの、なんか、そうだよねってなる

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