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「マッチ工場の少女」を見ていました。その場所に喪女ありて。なんつー話だよ。あまりにも悲惨なので底が抜けたダークコメディに、というのはあるにしても、いやなんつー話だよ。

クラシック映画的なアプローチとしてはフレームアウトと同時に車のブレーキ音といった割とオーソドックスなとこについ目がいくも、足元のジュースの瓶の哀愁とか鳴らない電話の佇まいも忘れがたい。あとなんだあのパンにトマトのっけただけのまずそうなやつ。

しかしこれ、天安門事件と重ねて巨大な存在に立ち向かう孤高の話を描いているのかとちょっと驚く。「真夜中の虹」のオルゴールのインターナショナルとかもそうなんだけど、若い頃見てもニュアンスがわからなかったことがたぶん今だからある程度(ある程度ではある)繋げて考えられるね。

工場で単調に響き渡るマッチを作る音と主人公の仏頂面でもないのに無表情に見える顔、絶妙に野暮ったい愛の歌の数々、彼女は何もできないと思っている人間たち。取るに足らない、捨て去られるマッチのような女、しかしマッチは全部を焼き尽くせるんやで。女主人公だとぬけぬけと幸せにしにくさはあるぶん、ハードボイルドというかノワールというかタガが外れる話になるというのが現実的であるがゆえの笑えなさ、かもしれない。しかしみんな顔が強い。

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