大西あゆみ 氏:
≪というか、ふた昔くらい前には「レイプでも一度ヤれば女はその男を愛さざるを得なくなる、それが女のサガだ」という考えがわりと普通にあった。いわば貞操観念、”一夫一婦”の教えを逆手に取ったもの。任侠ものの映画や少年マンガには特に多かったんじゃないか。今の若い人にはおぞましすぎて信じられないかもしれないけど。「合意がないのはNO」に頑強に抵抗する老人なども、これだと思う。おかしな話、”関係したのに裏切る”という点で、浮気や不貞と同じだと信じて不服なのに違いない。萎びたエリートにお似合いの封建的観念ではある。観念自体は全然昔のものなんだが、でもモテる自信がないのにプライドばかり高く、しかもヒツジのように孤独に耐えられない男性にとっては、こんなに魅力的なものはない。で今でも―様変わりはしながら―一部では脈々と受け継がれてるんじゃないかな。≫