高校時代の帰りの電車にて。土曜の昼下がりで車内は空いていて、別の高校の友人とボックス席に座っていた。暫くすると隣の車両から来た青年が私たちに近づいてきてまずは友人の方に話しかけた。具体的に何と言われたのかは忘れたが要は「手かざし」をしたいという内容だった。突然の出来事に言葉に詰まる友人だったが、その青年の気迫に負けたのか渋々受ける事に。何とも言えない表情で「手かざし」を受けている友人を見て笑いを堪えつつ「(次は俺の番か…何と言って断ろうか…)」と考えていた。友人が解放されいよいよかと緊張が高まる。そしてついに青年は私の方に向き直った。が、一瞬私と目を合わせた青年は何も言わずに隣の車両へ去っていった。