「未来散歩練習」パク・ソルメ 著 斎藤真理子 訳 #読了
釜山アメリカ文化院放火事件をモチーフに二つのパートで進行する今作。よく歩きよく食べ、日々の営みの描き方は驚くほど自然。今作を読むことも未来への練習なのだろう。読み終えまた最初に戻るのだった。
放火事件から受けた問いを関係者の声明文やボブ・ディランの詩から思考し、表題に繋がるある答えは未来に繋ぐ希望のバトンとして渡される。目で追うその文章に光が当たっているようだった。
「現在と未来について考える人たち きたるべきものについて絶えず考え、現在にあってそれを飽きずに探し求める人々は、すでに未来を生きていると思った。」
「絶えず時間を注視し、来たるべきものに没頭し、人々の顔から何かを読み取ろうとする人々は、来たるべきと信じるそのことを、練習を通してもう生きているのだと。」
本さえあれば。