1976年生まれの私は半世紀前に生まれ1945年の時点で既に子供がいた祖母や祖父達がどのような軌跡を辿ったのかよくわからない。
本人たちに聞いた話も多かったが、子供だったが故に興味もなく、体系的に聞き取りをすることもできず他界させてしまった。
母や父、叔母叔父から伝え聞いたものもあるが、あやふやなところも多い。
語られたものより語られなかった部分のほうが圧倒的に多いだろう。
その語られなかった部分に、子供にも孫にも語ることのできなかった記憶の澱は如何ほどだったのだろうか。
故郷にも帰れず、差別主義者に囲まれ自分達の素直な感情を発露させることもできず過ごした日々は、果たして如何ほどのものだったのだろうか。